近年、インターネット通販やキャッシュレス決済の普及により、クレジットカードによる不正利用が増加しています。中でも「不正なチャージバック(Chargeback Fraud)」は、商品やサービスを受け取った後に、正当な理由なく決済を取消す行為であり、事業者にとって深刻な経済的損害をもたらします。このようなケースに対し、「詐欺罪(刑法第246条)」や「電子計算機使用詐欺罪(同246条の2)」に基づき事業者は警察に被害届を提出する法的権利を有しており、必要な証拠を揃えることで刑事事件として捜査対象とさせることが可能です。過去に多くの方がこのような不正なチャージバックを行ったものに対し告訴を行い解決されております。
これら被害に遭った場合は一度当事務所の法務担当にご相談ください。

1. 不正なチャージバックとは
チャージバックとは、カード利用者(顧客)が自らの意思で決済会社及びクレジットカード会社に「身に覚えのない請求」や「商品が届いてない」、「クーリングオフに該当する」等を理由に支払取消しを求める制度です。
しかし、実際には自身で全て同意、認識した取引にも関わらず、商品やサービスを正当に受け取った後、故意または虚偽的な理由を元にチャージバックを申請する「チャージバック詐欺」が問題視されており、これらは特商法に基づき正式に販売した事業者に対して莫大な被害をもたらしております。
これは明確な詐欺行為に該当する可能性があり、刑法上の「詐欺罪」(刑法第246条)や「電子計算機使用詐欺罪」(刑法第246条の2)に当たると解されます。
2. 事業者の被害届提出の権利
不正なチャージバックによって損害を受けた場合、事業者は被害者として、刑事事件としての被害届を警察に提出する権利を持つつともに、またそれらにかかった全ての費用請求・元々の契約における権利を行使できる場合もあります。

• 決済会社 / カード会社介してチャージバックされたケース
実質的な損失は事業者に発生するため、事業者が「財産的被害を受けた者」被害者と認定されるので事業者が被害届を出せる。また、クレジットカード会社は基本的にカード保有者からチャージバック申請が来た際に、実際に事業者とユーザ間で結ばれた契約書や規約の内容確認、または商品の配送状況などの調査まではしない。その為、それらユーザが実際に利用した場合の契約書や規約、また利用履歴の証拠、配送証拠、メッセージのやり取りなどをクレジットカード会社に対して反証すると、これらの顧客情報が個人信用情報機関に登録される場合があり、これは今後他の事業者が同じ被害に遭うことの防止策にもなるので必ず行いましょう。不正なチャージバックを行ったカード保有者は、刑事罰だけではなく、ローンや個人信用など将来の多くのことに影響を及ぼします。

• 消費者センターの相談を元にチャージバック行ったケース。
カード保有者が、消費者センターに一方的な主張を行い消費者センターが「それならカード会社に連絡してチャージバックしてもらって下さい」というアドバイスを元にチャージバックを稀にする場合がある。しかし、消費者センターの担当者は相談員であり、行政書士でも弁護士でもない。この場合でも、全くもって民事裁判、契約書の効力及び刑事事件管轄への被害届の受理には影響しない。
そもそも、これら全て消費者の主張が通れば、「契約書に自分でサインしていない」「重要事項を聞いていない」「電話勧誘を強引にされた」「配送されてない」など様々な虚偽的主張ですら通ってしまうことになる。しっかりと契約書や営業プロセスなどが特商法に基づいている場合は迷わず被害届を出しましょう。
2. 反証及び訴訟のプロセス
まず、EC事業者、オンラインサービス事業者に関わらず利用履歴(商品受取履歴)、申込時のメールアドレス、電話番号、契約書名(または規約の同意プロセス)、氏名や住所などがカード保有者のものと一致している場合はそれらを一つの書面にまとめましょう。また、カード決済時に3Dセキュアを導入している場合は、そもそもカード会社に登録している電話番号や暗証番号をサービスや商品購入時に入力しているはずなので、本人が同意して決済している証拠になる。2025年に全ての事業者が3Dセキュアの導入を義務付けられている為、最近ではこの不正チャージバック詐欺の反証証拠が簡単に揃うようになっています。
契約書や規約にチャージバック時の損害金などの記載をしている場合は、それらの損害金、また本来の契約時の金額を、X日以内に指定の口座に振込むようにメールに記載し送付しましょう。不正チャージバック者に対し7日毎に合計4回送付し1ヶ月後でも対応がない場合、これらの送付履歴やメール文章も添付資料として被害届の提出時に利用します。
3. 被害届の提出手続き
まとめると、3Dセキュアがあり、利用履歴や販売方法に問題がないのに、チャージバック被害にあったなど、詐欺性が明らかな場合には、立件が認められる可能性が高いです。
警察への被害届提出には、以下の手順と書類が必要です。

① 最寄りの警察署に出向く
原則として、被害が発生した住所地または法人本社所在地を管轄する警察署に行きます。事前にアポイントを取っておくとスムーズです。
② 必要書類を準備する
以下のような証拠資料を持参することで、説得力のある届出が可能となります。
• 注文履歴(注文日時、商品内容、金額)
• 商品の発送履歴・配達完了の証拠(宅配業者の追跡番号など)
• 顧客のチャージバック申請内容(カード会社経由で取得可能)
• メールやチャットなどのやり取りの記録(顧客の意思確認)
• カード決済履歴・取引明細。契約書
• 売上減少や損害額の試算
③ 被害届の作成と提出
被害内容を説明し、警察官の助けを借りて「被害届」または「被害申告書」を作成します。このとき、「電子計算機使用詐欺罪」または「詐欺罪」への該当可能性がある旨を伝えることが重要です。
警察は内容を審査し、事件性があると判断した場合に正式に受理します。
4. 捜査と対応の流れ
被害届が受理されると、警察は次のような手順で捜査に入ります。
• 被害の内容や金額、証拠資料の確認
• 加害者の特定(IPアドレスや配送先住所などの照会)
• 事情聴取や任意捜査
• 必要に応じて、検察へ送致
ただし、捜査の着手や逮捕に至るかどうかはケースバイケースであり、被害額の大きさや明確な証拠の有無が判断の鍵となります。
5. 民事対応との併用
警察への被害届とは別に、民事訴訟や簡易裁判所での支払督促申立てによる金銭回収も可能です。刑事告訴を行いながら、民事上の損害賠償請求を行うことで、より実効性のある対応が期待できます。
6. 注意点とアドバイス
• チャージバック対応は時間との勝負。証拠保全を速やかに行うこと。
• 一度でも詐欺と見なされた顧客情報(氏名・住所・IP等)は社内で管理し、今後のリスク回避に活かす。
• 警察は「被害届の受理=事件化」ではない点に注意。強い主張と明確な証拠が必要。
• 複数の同様被害がある場合は「組織的犯行」として扱われる可能性もあり、警察の対応が変わる。
【まとめ】
不正なチャージバックは、事業者にとって看過できない詐欺行為であり、被害が明確な場合には警察への被害届提出は正当な手段です。証拠を揃え、冷静かつ迅速に対応することで、刑事的追及および損害の回復が可能になります。また、民事と併せて行動することで、事業者としての信用維持にもつながります。
必要に応じて、被害届の書式例や、警察とのやり取り文面のテンプレートもご提供可能です。ご希望があればお知らせください。